アカハライモリといえば赤いお腹のイメージが強いですよね。
でも、それ以上に、驚くべき再生能力を持っていることご存知ですか?
トカゲみたいに尾っぽが切れてもまた生えてくるってこと?
うん、そうなんだけどね。そんな一言で語れる話じゃなくて、未来への期待と可能性を秘めた特別な力なんです!
私は4匹のアカハライモリを飼育しています。飼育を始めてから、もう7年以上が経ちました。アカハライモリについてたくさん勉強もしました。
そこで知ってしまったのです。アカハライモリが最強生物だと言うことを。
ぼくの名はアカ。ぼく達アカハライモリの凄い能力、知ってほしい! きっとみんなの役に立つからさ。
この記事では、アカハライモリの再生能力の秘密や、幹細胞やリプログラミングといった興味深い現象、さらには現在行われている研究に関してまで徹底解説します。
驚異的なアカハライモリの世界に飛び込んで、一緒にアカハライモリの謎と秘密に迫ってみませんか?
アカハライモリってどんな生き物?
では、まずはアカハライモリについて簡単にご紹介します。
アカハライモリは、イモリ科イモリ属に分類される両生類の一種です。
主に本州・四国・九州に分布していて、水田、池、川などの流れの少ない静かな淡水域に生息しています。
アカハライモリの一番の特徴は、なんといっても、鮮やかな赤色のお腹!
でもね、ぼく達アカハライモリには、赤いお腹以外にも他の生物にはない特徴がたくさんあるんだよ。
そうね、赤いお腹に再生能力、美しい繁殖行動に独特のフェロモン。あと、毒も持っているよね。
その中でも今日は、再生能力について詳しく解説します。他の特徴についても詳しく知りたい! って方は、ぜひこちらも覗いてみてください。
アカハライモリの再生
アカハライモリの高度で常識外な再生能力、詳しく見ていきましょう。
再生力とは?
そもそも「再生力」って何なのでしょう。
再生力とは、生物が自らの組織や臓器を損傷したり切断された場合でも、それを元の状態に戻すため再生させる能力のことです。
病気を治したり、長生きするのに欠かせない力だよ。
一般的に、哺乳類には再生力はあまり備わっていないとされています。
イモリは再生界の世界王者
アカハライモリの再生能力は、非常に高度です。
切断された部位を再生して、完全に元の形態に戻すことができます。
手足はもちろん、目のレンズ(水晶体)、網膜、心臓などの内臓、脳まで再生でき、さらにこれが何度でも可能。
また、一般的に、傷が癒えると傷痕が残ることが多いですが、イモリの皮膚再生は傷痕を残しません。
ここまで出来るのは、他の生物には見られない驚異的な能力です。
なので、アカハライモリは再生の世界王者と言えます。他の生物とは一線を画する存在となっています。
ぼく達の再生能力は、科学者や研究者の間でも大いに注目されているんだ。
再生能力の秘密
では、なぜアカハライモリがこれほどまでの再生能力を持っているのか探ってみましょう。
アカハライモリは「DNA量」が世界一
実は、体の細胞ごとに含まれる「DNAの量」が最も多いのがアカハライモリです。
両生類は、陸上で生きていくためにさまざまな進化を遂げてきました。その中で、特にイモリやサンショウウオなどの有尾目は、DNAの量を驚くほど増やしたのです。
その結果、アカハライモリの細胞ごとのDNA量が、現存する生き物の中で一番多くなりました。
だからアカハライモリはこんなに再生能力が高いんです!
アカハライモリの再生能力の秘密を解明することで、他の生物や人間の再生医療にも応用できる可能性が広がります。
さらに、ゲノム解析での研究も行われています。
ゲノムとは、DNAのすべての遺伝情報のこと。ゲノム解析は、病気の原因や治療法の開発に役立っています。
アカハライモリの再生システム
アカハライモリの再生能力の秘密は、再生メカニズムにもあります。
イモリの体が損傷した場合、損傷部位から細胞が分裂して増殖、そして傷口を埋める「再生芽」を形成するんです。
再生芽は、神経細胞や血管細胞などが含まれており、傷口を埋めるだけでなく、機能を回復させることもできるとされています。
とにかく、複雑なプロセスによって再生が実現しているんです。
再生力のカギとなるのは?
アカハライモリの再生力を握るカギとなるものがいくつかあります。
それが「幹細胞」「リプログラミング」「赤血球」「Newtic1」です。
小難しい用語ばかり…。できるだけ簡単に書くから最後まで読んでね。
それでも、読むの大変そうだなぁって人には、
↓こちらのYouTube動画、ちょっと長いけれど、とても分かりやすいです。
幹細胞は必要不可欠
幹細胞とは、多種多様な細胞を形成する元となる細胞です。
同じ両生類であるカエルやサンショウウオも幼いころは幹細胞が活発に働いています。
そのおかげで、ぼく達は幼体から成体へと変態できるんだ。
本来、多くの生き物は、成長し大人になると幹細胞による再生能力は弱まっていきます。それは変態後の両生類も同じ。
しかし、イモリは違います。
幹細胞の働きが弱まってはいくものの、大人になってからも、一生を通じて何度でも再生することができるのです。
これが、ぼく達のスゴイところさ!でもなぜだか分かる?
なんと、イモリは傷を負うと、その部位の筋肉に分化した細胞が、『幹細胞にそっくりな細胞』にまで戻るというのです。細胞が一段階前に戻ったような状態です。
その状態からであれば、さまざまな筋肉に変化できます。
ちなみに、ウーパールーパーも再生し続けられるのですが、それはずっと子供の姿のままだからです。
スゴイぞ! リプログラミング
上記の『幹細胞にそっくりな細胞』が、傷口近くでその部位のミニチュアサイズの原型を作り、必要な筋肉の細胞を配置して、それが立派に成長し再生完了です。
再生できなくなった細胞を、再生できる細胞に変える現象をリプログラミングと呼びます。
イモリでは、このリプログラミングが骨や皮膚など全身で起きている可能性があるのです。
ぼく達のスゴさは、とどまる所を知らないって感じだね。
ただの赤血球じゃない⁉
赤血球とは、体の隅々に酸素を運ぶ役割をするものです。体の再生とは関係ないように思われます。
しかし、イモリの赤血球には、人の赤血球にはない遺伝子があり、いろいろなものを作り出していることがわかりました。
イモリだけが持つ遺伝子「Newtic1」
イモリの研究をしている筑波大学の千葉教授。このイモリ大先生が、イモリの赤血球にしかない固有の遺伝子「Newtic1(ニューティックワン)」を発見されました。
英語でイモリを意味する“newt”と、1番目に見つかったことを合わせて、『Newtic1』と名付けたそうです。
Newtic1、カッコいいですね。
さらに詳しく知りたい方は、このYouTube動画もぜひご覧ください!
[サイエンスZERO] 脳も心臓までも!イモリのスゴすぎ再生力の秘密がなんと赤血球にあった!| NHK
イモリは「がん」にならない
なんと、イモリはがんにならないという特徴もあります。イモリの再生能力はがんの発生を抑制するメカニズムを持っていると考えられています。
すごいでしょ?この特性は、がん研究においても注目されているよ。
イモリの再生能力と応用の可能性
これほどの再生能力を持ったイモリ。この特殊能力は、さまざまに応用できる可能性があります。
宇宙で研究される「再生力」
イモリの再生能力は宇宙での研究でも注目されています。
なんと、アカハライモリは実験のためにスペースシャトルに乗って宇宙に行ったんだそうです。
宇宙環境では重力が変化し、生物の細胞や組織に影響を与えます。再生力を研究することで、宇宙での生命維持や宇宙飛行士の健康管理に役立つ可能性があります。
iPS細胞とも違う新たな再生医療に
現在の再生医療と言えばiPS細胞。
iPS細胞とは、2006年8月に山中伸弥教授らによって作製された人工多機能性幹細胞。体細胞にごく少数の因子を導入することによってさまざまな組織や臓器に変化できる能力を持っています。
イモリの再生能力は人への応用も期待されています。さらに、iPS細胞とは異なる新たな再生医療の可能性を秘めています。
iPS細胞による再生医療は、作った臓器を移植する方法。一方、イモリの再生は体内で直接、組織や臓器を再生させるメカニズムです。
このような新たな再生医療のアプローチは、より効果的な治療法の開発につながります。
まとめ
ここまで読み進めてくださってありがとうございます。いかがでしたか。
難しい部分もありましたね。アカハライモリの驚異的な再生能力の秘密、どのくらい紐解けたでしょう?
イモリのこの特殊能力は、私たちの理解を超えたものですが、ずいぶんといろんなことが分かってきています。
これからも、そのメカニズムの解明や応用の研究が進み、医療や生物学の分野で大きな進歩をもたらすことでしょう。
アカハライモリ愛好家の私も、今後の研究の発展に大いに期待しています。ぜひ、みなさんもご一緒に、アカハライモリの謎にもっともっと迫っていきましょう!
最後に、クイズで復習!
理解が深まったか確認してみてね。